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自分と向き合うヒント

いつもの思考パターンを知って気分をラクにする(認知行動療法)

認知行動療法とは

ストレスなどで固まって狭くなってしまった考えを柔らかくし、自由に考えたり行動できるようにしていきます。

ストレスを感じる出来事が起きた時に、認知、気分、身体、行動という4つの側面に注目します。それらを整理しどんな状況で、つらい気持ちが起こるのか、それはどのくらい強さなのかを客観的に理解します。そして、出来事に対する考えを見直したり、考えの幅を広げたりすることで気分を楽にしていきます。

つらさや苦しさを言葉で明確にする

最近、なんだか辛いなと感じるとき、そのつらさにはさまざまな種類があります。つらく感じた時に、そのつらさが落ち込みなのか、不安や苛立ちなのか自分の感情を言葉で表します。

憂うつ怒り心配不満誇り
無我夢中うんざりいらだち傷ついたパニック
愛情不安罪悪感神経質
興奮失望楽しい悲しい困惑
怯え激怒屈辱感こわい快い
(気分を表す代表的な言葉のリスト)

自分の気分を言葉にし、客観的に理解できるようになると、どんな状況でその気分が起こりやすのかが気づけるようになります。また複数の気分を一度に感じていることもありますので、よく感じてみてください。
自分の気分がよくわからないときは、身体の状態をヒントに考えてみるのもいいでしょう。

気分の強さを表す

考えられる限り最も強い気分を100%としたときに、現在の気分が何%程度か評価します。これを習慣にすると、自分の気分の変化をより客観的に把握できるようになります。
(例えば)
・状況
子供が風邪をひき、明日は看病をしなくてはいけなくなった。
重要な会議があったので、夫に相談したところ「俺は無理」とあっさり断られた。
・気分
怒り90%、不満90%、失望60%、傷ついた55%

・状況
久しぶりに同窓会に出席したが緊張でどう振るまっていいのかわからなくなった
皆、華やかで成功しているように見えた。
・気分
屈辱感95%、緊張90%、恥75%、憂うつ60%

気分を左右する思考パターンに気づく

イヤな出来事は誰にでも起こるものですが、その結果として起こる気分は人それぞれです。それは、出来事と気分の関係には、それぞれがもっている「認知」というフィルターが関係しているからです。つらい気分が起こるときには、つらい気分を生み出す認知が必ず存在しています。そのため、つらい気分をなくすには認知の歪みを修正する必要があります。

つらい気分を生み出す自動思考には、特有のパターンがあります。

①なんでも白黒つけようとする
②個別の出来事を全てのことに当てはめようとする
③一つのよくないことが気になり、現実が見えなくなる
④良いことも中立的なことも全てを悪く受け止める
⑤物事を根拠もなく悪く判断する
⑥悪いことは過大に良いことは過小に評価してしまう
⑦自分の感じていること考えていることと、現実・事実を取り違える
⑧勝手に「すべき」「すべきでない」と考える。合致しないと自己嫌悪に陥る
⑨物事の特性をネガティブに判断してしまう
⑩自分に関係のないことに勝手に責任を感じる
認知のゆがみ10パターン

(例えば)
つらい気分になる自動思考 認知のゆがみ:①白黒思考
▶︎仕事は全て100点でないといけない。1つでもミスがあると0点だ。
自動思考の修正(新たに考えた適応的思考)
▶︎今回は1つミスがあって70点だったが、70点分は良い仕事ができた。次はミスを再発させないようにしよう。

つらい気分になる自動思考 認知のゆがみ:②一般化のしすぎ
▶︎お客様から企画の内容をダメ出しされた。私には企画力がない。
自動思考の修正(新たに考えた適応的思考)
▶︎企画に対してご指摘を受けたが、原因を分析して次回はより良い企画を考えよう。

過去を糧に明るい未来を想定して、現在どうすると良いのかという視点を持って新たな行動につなげていきます。

<引用・参考文献>やさしくわかる認知行動療法 (監修)福井至、貝谷久宣

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